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2017年3月29日(水)
『ガーリッシュ ナンバー』の本質は“侘び寂び”!? TVアニメの解釈が広がる、井畑監督×渡 航氏インタビュー!

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本日3月29日にBlu-ray&DVD第4巻が発売された、TVアニメ『ガーリッシュ ナンバー』。

監督の井畑翔太氏と原案・シリーズ構成を務めた渡 航氏の、全3回で贈るスペシャル対談もいよいよラスト!!

 

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千歳が最終話のアフレコ現場で告げた言葉は真実なのか? 九頭Pは実はクズじゃなかった?

本作の解釈が変わるかもしれないエピソードが飛び出したインタビュー第3回、スタートです!

 

 

第3回

 『ガーリッシュナンバー』の本質は“侘び寂び”!?

第1回はこちら

第2回はこちら

 

全然ダメな社会人じゃなかった?

“九頭P有能説”がここに!!

 

――主人公の千歳はもちろん、本作にはクセのあるキャラクターが多数登場します。特に九頭Pはダメな社会人か、それとも熟練の業界人か、視聴者の印象が分かれたのではないでしょうか。

 

渡:今回はアニメの制作サイドから描いた物語だったので、九頭Pがダメなヤツに映ったと思うんです。確かに彼はプロデューサーとしては難があるかもしれないけど、プロモーターとしてはそれなりに有能な可能性がありますね。

 

井畑:九頭Pも、千歳が所属するナンバーワンプロデュースの難波社長も、一見適当に見えるかもしれませんが、彼らも出した企画がダメだったり、送り出した新人がどんどんつぶれていったりしたら、当然自分自身の首が締まるわけですからね。アニメ業界は、放送される作品数がすごく増えて、人材確保も難しくなって、現場が疲弊している……といわれますけど、その状況をわざと狙っている人は1人もいないんですよね。

 

渡:そうそう! わざと悪い作品を作ろうとする人はいないんですよ。

 

井畑:「作品を無意味にたくさん送り出して、アニメの評判を落として、現場のスタッフを疲弊させてやろう、ウッヒヒヒ♪」という悪のフィクサーみたいな人は別にいないんです。みんながみんな、誰かのためにがんばろうとしているんだけど、それがうまく嚙み合っていないだけなんですよね。九頭Pもそう。世間的には九頭Pの評判が悪かった印象があるのですが、僕らの制作現場では一番といっていいくらい人気のキャラクターでした。

 

渡:「九頭Pはかわいい」という意識のもとでしか、僕は書いてないんですよ。でも、今の日本に九頭Pを愛せるだけの心の余裕があるかどうか……(笑)。十和田APの状態を3カ月ぐらい続けると、「しょうがない」というあきらめの感情とともに、上司・九頭Pのよさがわかると思うんだけど、今の日本には……(以下略)。

 

――まだ社会経験がない若い人が九頭Pのような業界人を見たら、いい加減な大人に見えるかもしれないですね。

 

井畑:う~ん、彼の行動をそのまま受け取ってしまうと難しいのかな。

 

渡:ポジション的に、九頭Pがただ単に嫌な人であるわけがないんですよ。あの、のらりくらりとかわしていく交渉術などは、Pとして非常に有能ですからね。

 

井畑:そうですね。四方八方から嫌われる人は、プロデューサーになれないと思いますね。ものすごい数のスタッフをまとめつつ、指示を出して、作品を作らなければいけないわけじゃないですか。アニメ業界では経験豊富な大人たちがいろいろ知恵を出し、手を尽くして、それでもスケジュールが間に合わなかったり、土壇場でなにか手を打たなければいけなかったりする時もあるわけです。九頭Pはそれを回しているわけなので……。

 

――少年マンガなどだったら、その手のキャラクターが悪人だと勘違いされないように説明してくれる登場人物が出てきそうですよね。たとえば、いい加減な大人に怒る主人公に「アイツはダメな人に見えるけど、あの行動力に実は助けられているんだよ」とフォローするような。なぜ極力説明を排除して、キャラクターの印象をすべて視聴者にゆだねる構成にしたのでしょうか?

 

井畑:作品を“説明文”にはしたくないという想いがあったんです。シナリオの打ち合わせの時も、僕が説明的なセリフを削ってほしいとお願いしていたので、脚本で参加していただいた作家のさがら(総)さんにも「これだけで伝わりますかね?」と心配されたりしました。業界に関する説明も省いていますし、アフレコのシーンでわからない単語があったらネットで検索してくれるだろう、というくらいの気持ちでした。

 

渡:僕らの合言葉は「『SHIROBAKO』を観てから観てね」でしたから(笑)。

 

井畑:業界用語の説明はできるだけ削って、その分の尺をキャラクターの描写に割きました。声優業界やアニメ業界はこういうもの、という説明がしたくてこの作品を作ったわけではないからです。

 

渡:僕らが扱いやすい題材で、人間ドラマを描きたかっただけなんですね。

 

井畑:そう、人間ドラマなんですよ。でも、声優業界やアニメ業界じゃなければ成立しないお話かといわれると、う~ん……(笑)。

 

渡:ぶっちゃけ、吹奏楽でも成立したんですけどね!

 

(一同爆笑)

 

井畑:でも、僕らが詳しい題材のほうがリアリティーも出るし、ドラマも緻密に描ける。そうしたらもうこの業界を舞台にした物語しか考えられなかったんですね。

 

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▲九頭Pのようなフットワークの軽い人物もアニメ作りには必要な人材。その下で働く部下の十和田APは、適当な上司に振り回されて大変なようでしたが、なんだかんだでよいコンビ!?

 

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2017年3月29日(水)

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