2008年10月10日アーカイブ

今朝は――
まずまず、よく晴れていたのに、
日が暮れる頃になって、
急に雨が降ってきた。

ボツボツと――
音もまばらな
空疎な雨じゃ。

降り始めたと思ったら、
すぐに止んで――
薄ら闇を――うっとおしく
湿らせておる。

夕刻に降る――
こんな秋の雨は、
秋の夜長を行き交う
モノノケの往来を
隠すためのものじゃ。

落ちてくる雨つぶの中で――
傘などささずに1人、
空を見上げると――

――見える。

見えてくるぞ。

巨大なモノノケの気配が――

フフフ

この――
高き天を覆い尽くすほどに
大きく広がるケモノのごとき魔物の姿。
恐ろしく雄大で――
それでいて心地良い――
フフ。

のう?
わらわが同胞――
兄じゃも感ずるであろう?

あの2つ並んだ円い固まりは目玉――
そしてその下に大きなサンカクの形をして
ニヤリと広がるのは――
大きな口じゃ。

他の者には――
ただの雲にしか見えぬかもしれぬがの。
わらわたちにはわかるのじゃ。

あれは――
この実りの秋の精気を
貪欲に喰ろうて――
肥ゆく魔物じゃ。

大丈夫。
ほんの少し、精気をとってゆく以外――
特に悪さはせぬものどもじゃ。

うむ――
どれ。

兄じゃもやはり少しばかり喰われたようじゃの?
失われた精気を養うために――
部屋に戻って柿でも食おうぞ。
たしか――昨日の海晴姉じゃの
誕生日のケーキもたしか残っていたはずじゃ

皮をむくのは――
兄じゃにまかせたぞ?

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