2月18日の全国公開以来、国内劇場観客動員数が160万人を突破、国内興行収入も22億円を超え、国内のみならず海外でも大ヒットを記録している『劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-』。
4月8日(土)から4月14日(金)までの第8週劇場来場者特典として、公式ネタバレ本「SAO劇場版“裏”記録全集」が配布されます。メインスタッフ7人によるインタビューに加え、未公開の設定画なども掲載されるというその本には、いったいなにが書かれているのか――? 監督の伊藤智彦氏にうかがってきたネタバレ本の内容や、劇場版の制作秘話を、全2回のインタビューでお届けします!
実は○○だった!? ネタバレ本で語られる『劇場版SAO』の制作秘話
伊藤監督が目指した
デートムービーとは?
――『劇場版SAO』は深夜アニメとしては異例の大ヒットを記録しています。周囲のさまざまな声が監督のお耳にも入っているかと思いますが、狙い通りにいったということがあれば教えてください。
伊藤智彦氏(以下、伊藤):いろんなインタビューで「デートムービーとして楽しんでいただければ」と言ってきましたが、「デートムービーとして楽しませたい」という提案はもともとプロデューサーの大澤さんや柏田さんからのものだったんです。なのでまず、「デートムービーとはなんぞや?」という定義を決めるところから始めました。いわゆる“恋愛モノ”だろうと捉えがちなんですが、違うんじゃないかと。もっとエンターテインメントが入っているものではないか、という話になりました。なので、その定義でいうとハリウッド映画もそうですね。そうなると『アルマゲドン』もそうですし『ダイ・ハード』も入るかもしれない、という解釈のもとに、笑いあり涙あり、アクションあり、ちょっとのお色気ありとかですね(笑)。そういうのがたぶんデートムービーである、ということになりました。あまり客層が男性だけに偏らないようにしたい、という感じですね。いまだに岩浪(美和)音響監督に「ハァ?」ってバカにされながら、ことあるごとに言っています(笑)。実際、岩浪さんが見に行った時、客層は男女比6対4くらいだったそうなので、試みは成功したみたいですね。
――逆に、意外だったことはありますか?
伊藤:特にないのですが、しいていうなら、お客さんがいっぱい入ってよかったです(笑)。興行収入20億を超えることは目標としていたので、意外とはいえないですね。今までの劇場アニメ映画の記録を超えたいというのはもともとありました。できるといいですねえ……(遠い目)。
――記録を超えるといえば『劇場版SAO』は作画枚数がかなりのものだとうかがっています。最終的にどのくらいになったのでしょう。
伊藤:作画枚数にして60000枚くらいですね。最近はTVアニメが1話4500~5000枚くらいといわれているので、だいたい1クール分くらいでしょうか。なんだかんだで増えちゃいました。
――2時間のアニメーションとして考えるとかなりの枚数ですね! これだけのボリュームを誇る作品を生み出す過程では、さまざまなハプニングが発生したとうかがっています。
伊藤:制作の佳境で起こった、キャラクターデザイン・総作画監督の足立さんの鎖骨骨折はさまざまなところでいわれてますし、俺の救急車のエピソードもそろそろ解禁していい時期でしょうか。ちょうどエイジ役の井上(芳雄)さんの追加収録をしている時でした。岩浪さんが都合が悪くて来られなくて、俺がブースに入って指示を出していたんですけど、途中で意識が途切れていて。気づいたら天井が見えて「やべ、碇シンジ君みたいになってる!」みたいな(笑)。
――「見知らぬ、天井」(編注:『新世紀エヴァンゲリオン』第2話のサブタイトル)ですか(笑)。いやいや、大変でしたね! それで入院されたりしたのでしょうか?
伊藤:脱水症状みたいなものだったので、すぐに復活はしましたけど。あとはA-1 Picturesのプロデューサー・加藤淳の検査入院ですね。これは不摂生によるものですが、プレッシャーから来るものだったみたいですよ。
――随分重なりましたね(汗)。
伊藤:いちおう、制作を始める時にお祓いに行ったんですけどね。おかげさまで大ヒットはしましたけど、身体的に無事というわけには……(笑)。
▲ド派手なアクションあり、ロマンスありと、ワクワクドキドキが詰まった『劇場版SAO』。これこそ伊藤監督の目指す「デートムービー」なのだ!
公式みずからが贈るネタバレ本
その驚きの内容とは――?
――今回、第8週の来場者特典としてネタバレ本「劇場版“裏”記録全集」を作ることになったとうかがっているのですが、その経緯を教えてください。
伊藤:『SAO』原作小説の編集担当の三木さんから「こういうのやりませんか?」という一斉メールが飛んできまして、「わかりました!」となりました(笑)。
――内容はどのようなものなのでしょう。表紙には「今だからこそ語ることの出来る、極秘ネタ満載で『劇場版SAO』の全てを暴くメインスタッフスペシャル座談会!」と書かれていますが……。
伊藤:(冊子見本を見ながら)パンフレットにはなかったスタッフクレジットもしっかり掲載されているので、作画ファンの方にも喜んでもらえると思います。メインはスタッフによる座談会ですね。一堂に会する機会があまりなかったので、ロサンゼルス、ハリウッドの舞台挨拶で集合した時に収録しました。かつて一度にこんな人数が集まったことはないのでは、というくらいレアな会合でしたね。本当はパンフレットをもう1度出そうか、という案もあったんです。『君の名は。』で、公開してから新海誠監督のロングインタビューを載せた第2弾パンフレットが出て評判になったので、ああいうものをやりましょうかと。ただ、パンフレットはやはり制作に時間がかかる部分もあるので、上映期間中にできる限り早くユーザーに届けたい、ということを優先した結果、アニプレックス宣伝プロデューサーの相川(和也)さんから「来場者特典にしましょう!」と提案があったので、こういう形で世に出ることになりました。
▲極秘座談会の参加者は、伊藤智彦氏(監督・脚本)、足立慎吾氏(キャラクターデザイン・総作画監督)、川原 礫氏(原作・脚本)、abec氏(キャラクターデザイン原案)、大澤信博氏(アニメプロデューサー)、柏田真一郎氏(アニメプロデューサー)、三木一馬氏(原作担当編集)の7名。
――内容はかなり豪華なものになっていますね。メインスタッフの座談会に加え、abecさんのキャラクター原案や、川原さんによる《アインクラッド》の世界設定、ボスモンスターの設定が掲載されています。
伊藤:劇場版のモンスターの設定画はすべてアニメスタッフによるものです。ラスボスが繰り出す技は、アクションパートの絵コンテを担当された鹿間さんに、川原さんの世界設定の文言を頼りに考えていただきました。
――ARアイドルのユナといつもいっしょにいるマスコットキャラクターは、ネタバレ本の座談会の席で命名されたそうですね。
伊藤:そうなんです。デザインはabecさんに担当していただきました。あのキャラクターはもともと名前がなかったんですが、みなさん気にされているようなので、この機会に決めようとなって「アイン」と命名されました。名前の由来もこの本で明らかになっていますよ。
――『劇場版SAO』に登場する指輪は、アクセサリーブランド「agete」で実際に販売されている商品です。(※完売のため、現在はコラボ商品の販売は終了しています)
伊藤:しずく型のモチーフが特徴的な、アクアマリンのリングです。ちょうど劇場公開時期に発売になるモデルの中から選ばせてもらいました。ユイがオブジェクト化したアイテム「ユイの心」に偶然にも似ていて、キリトがアスナに贈る指輪のイメージにぴったりでしたね。
――幻となってしまったお色気シーンについても語られているとか……。
伊藤:アスナのお風呂シーンで、シャンプーのパッケージばかりが映ってじれったい! と思った方もいらっしゃると思いますが、それには理由があるのです。あのシャンプーのパッケージに意味があるわけではありません(笑)。あの部分に、アフレコ段階ではとあるカットが入っていたんです。……実は、○○がバッチリ見えていたんですよ。
――なるほど、アフレコの時みなさんがザワッとしたというお色気シーンはそこだったんですね。
伊藤:そうなんです。アスナ役の戸松(遥)さんはそれに目を奪われて、セリフを言うのが出遅れてました(笑)。みなさんの希望があれば、Blu-rayとDVDにはカットになったシーンも収録されるかもしれませんね(笑)。
▲ARアイドルのユナといつもいっしょのマスコットキャラクター「アイン」の名前の由来はいったい? アスナのお風呂シーンにまつわる驚愕のエピソードは必見です!
インタビュー後編>>>
「ARアイドル・ユナ役の神田沙也加さんが歌う挿入歌にまつわるエピソードが解禁!?」へ続く
後編は、4月8日18時公開予定♪
【プロフィール】
伊藤智彦(いとうともひこ)
愛知県出身。アニメ演出家。『ソードアート・オンライン』シリーズ監督。2016年には『僕だけがいない街』(監督・絵コンテ・演出)で、巧みな心理演出を披露した。本作の大ヒットを受けて、メディアに映画監督としての活躍を期待されている。
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■価格 :3240円(税込)
■サイズ:B2(約縦51.5㎝×横72.8㎝)
■申込締切:2017年05月01日(月)
■お届け予定:2017年7月下旬
※代金引換え払い(代引き)はご利用いただけません。
※画像はイメージです。実際の商品と異なる場合があります。
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■申込締切:2017年05月01日(月)
■お届け予定:2017年7月下旬
※代金引換え払い(代引き)はご利用いただけません。
※画像はイメージです。実際の商品と異なる場合があります。
(C) 2016 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAO MOVIE Project
Posted at 2017.4.7 | Category:ソードアート・オンライン, ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-