現在放送中のTVアニメ『プラスティック・メモリーズ』の魅力について、キャストやスタッフがリレー形式で語る連載企画。
第7回は、原作・脚本担当の林直孝さんの登場です!
■林直孝(はやし なおたか)
MAGES.所属のシナリオライター。科学ADVシリーズなど、数多くの人気作を手がけ、本作で初のTVアニメ全話脚本に挑戦した。過去には『メモリーズオフ~それから~』などの人気美少女ゲームのシナリオも担当。
【#11までのあらすじ】
舞台は現代より少し科学が進んだ世界――。18歳の少年・水柿ツカサが就職したのは、人型のアンドロイド、 通称「ギフティア」を製造・管理する企業の一部署“ターミナルサービス”。彼に任された業務は、ギフティアの少女・アイラとパートナーを組み、寿命を迎えるギフティアを回収することだった。その業務の中でツカサは、アイラ自身も可動時間の限界が近づいているギフティアの1人だと知る。しかし、いずれ別れが来ると知っていても、彼女への愛情は深まるばかりだった。そして一度はツカサの愛の告白を拒絶したアイラも、大切な思い出を作ることが2人で生きた証になると気づき、その想いを素直に受け入れる。両想いになった2人は、料理やデートをして、ふつうの恋人のように楽しい時間を過ごすのだが……。 |
幸せだからこそ切ない――!?
林さんが語る#12の見どころは
――いよいよ#12の放送直前です。林さんがオススメする、#12の見どころを教えてください。
林直孝氏(以下、林):物語が大きく動くというよりは、2人の関係がじっくりと描かれる話数ですね。別れの時間――アイラが起動停止するまでの残り時間が刻一刻と迫っていますから、そこに向けての2人の気持ちの盛り上がり方や、覚悟の決め方を観ていただきたいです。アイラとツカサが幸せそうだからこそ、まわりから見た時に感じるやりきれなさや切なさも、#11以上に描かれているかなと。ターミナルサービスの仲間たちが、2人をどんな心境で見守っているのかも伝わると思います。
ツカサとアイラの恋愛模様を振り返って……
「告白を一度断ったことで彼女の性格が際立ちました」
――#10でアイラがツカサに告白をしましたよね? 告白場所がオフィスで、みんなが聞いている前だったことに驚きました。
林:仕事中ですもんね(笑)。最初に考えたのは、別の場所に2人で行って告白するというシーンでした。自然な成り行きですよね。でも、脚本会議を重ねる中で、告白したあとにまわりからの喝采が欲しいなという話になりました。ツカサとアイラの2人の恋の行く末を、ターミナルサービスの仲間たちもずっと見守っていたということを表現したかったんです。なおかつ、アイラがあまりにも緊張しすぎていて、まわりが見えていない感じを出したくて。意を決したアイラのテンパり具合がより伝わるように、オフィスでの告白シーンになりました。
――みんなに応援されながら愛を育んできた2人ですから、先輩方への報告も兼ねられてよかった気がします。パッと紙吹雪も舞いましたし……。
林:ザックは気が利くというか、用意周到ですからね(笑)。プロットを書いた当初は、実は#08で告白が成功するパターンだったんですよ。そのあとは、#12くらいまでひたすらアイラとツカサがイチャイチャしている構成を考えていたんです。そうしたら藤原(佳幸)監督から「(#08の)最後、アイラに断られませんか?」と提案されまして。「そんな、監督……ドSなことを……」と思ったんですけど(笑)。それでアイラからの逆告白というシーンが加わり、今の#08、#09、#10という流れになりました。
↑#08の告白シーンより。最高にロマンチックな状況でのツカサの告白に、「ムリですぅ!」と断るアイラが衝撃的だった。
林:今思えば、#08でツカサの告白が成功していたら、アイラが自分の意思で……というより、流されてOKした感が出ていたかなと。やっぱり、“恋人関係”はアイラ自身が抱えている問題をクリアしたあとでないと、踏み出せる領域ではないと思うんですよ。今の流れになって、アイラというキャラクターがより際立ったかなという気がしますね。
――告白を断られるというエピソードしかり、本作での恋愛の描き方は優しいシーンばかりではなかったですね?
林:アイラは過去にトラウマがあって、恋愛に対してもハードルが高かったですからね。僕はシナリオを書きつつ、「面倒くさい子だな、もっと素直になれよ……」とずっと思っていました(笑)。その面倒くささがかわいいキャラなんですが。僕も藤原監督も、アイラに対しては完全に父親目線なんですよ。年ごろになった自分の娘を見ている感じですね。アイラのシーンを描く時は、「がんばれよ! 幸せになれよ!」と念じながら、ハラハラドキドキしています。かといって、ツカサに対して「ワシの目の黒いうちは娘はやらん!!」みたいな頑固親父的な思いは抱いていません(笑)。「ツカサもがんばれよ、お前ならいけるよ」って応援する気持ちですね。2人の関係がうまくいってほしいという、ターミナルサービスの仲間たちと似たような目線なんだと思います。
“なにくそパワー”でモチベーションを保つ
ギラギラしていた(?)林さんの新人時代
――お話は変わりますが、本作は主人公・水柿ツカサが新入社員として奮闘する、お仕事アニメとしての見どころもありました。林さんの新人時代はいかがでしたか?
林:新人時代ですか……(しばし考え込む)。ここではいえないエピソードは、いっぱいあるんですけどね(笑)。僕は昔、負の感情というか、 “なにくそパワー”でモチベーションを保って仕事をしていた時期がありました。シナリオの仕事で怒られると「なにくそ!」と奮起して、指摘された以上の修正をしたり。それをドヤ顔で提出したら「なんでここまで変えるの?」といわれて、またしょんぼりしちゃったり……(笑)。
――今は“なにくそパワー”では動かないんですか?
林:今は褒められるとモチベーションが上がってうれしいですね。もっと褒めてほしいです(笑)。あ、新人時代の心温まる思い出、ありました!! 昔、僕が描いた小説が発売された時に、おばあちゃんから「ぜひ送ってほしい」と頼まれたんですよ。おばあちゃんは目が悪いので小説は読めないんですけど、宝物のように大切に持っていてくれて。それは本当にうれしかったですね。
――そもそも、最初からゲームのシナリオを描こうと思ってこの世界へ入ったのですか?
林:一番最初は漫画家になりたかったんです。小学校のころにノートに漫画を描いていたんですけど、絵が予想以上に下手なことに気づきまして。そこで中学生あたりからは、ひたすら小説を書いていました。やがて上京して、幸いにも文章の仕事を依頼されるようになって、ドラマCDやゲームのシナリオを少しずつやらせていただけるようになりました。そうして書いていくうちに、ゲームのシナリオが好きになりましたね。あのころは、まさか僕が原作を担当したアニメ作品が放送される日が来るとは、想像もしていなかったです。今でも毎週、不思議な気持ちでオンエアを迎えています。人生、なにが起こるかわからないものです。
雨宮さんからの質問に回答!
パートナーに選ぶなら誰!?
――リレーインタビュー第6回にご登場いただいたアイラ役の雨宮天さんから、林さんあてに質問が2つ寄せられていますのでご回答をお願いします。
「SAI社のメンバー(ギフティア、人間問わず)の中で、パートナーにするなら誰がいいですか?」
「ハーブティーはお好きですか? もしお好きなら、お気に入りのハーブティーの種類を教えてください!」
林:う~ん、これは悩みますね……。ターミナルサービスの人たち、かなり個性的な人が多いですから。カヅキは絶対パートナーにしたくないタイプですよね。プロレス技をかけられて、毎晩酔っぱらって、そのたびに介抱して、家まで連れて帰らなくちゃいけない。逆にヤスタカは遊び回って、家に帰ってこなさそうですよね。それはパートナー失格ですよ。ミチルはね、よいお嫁さんになると思います。料理もできますし、怒るとちょっと怖いし、尻に敷かれそうだけど、それもまた幸せですよね? ギフティアの中では、コンスタンスが一番楽できそうですね。なんでもやってくれそうな感じがするので、彼がいいかな……。
――え、えっと……その……それは人生のパートナーってことですか(赤面)。
林:そういうことにしておいてもいいですよ(笑)。冗談抜きで、コンスタンスは一番いい人ですからね。ただアフレコが後半の話数に入るにつれて、音響監督の土屋(雅紀)さんや、藤原監督から「ちょっと裏があるっぽい口調で」という指示が出ていました。だから#01から比べると、後半のコンスタンスはうっすら腹黒そうに感じられる部分はあるんですが。あとはザックをパートナーに選ぶのも楽しそうですね。とことんいっしょに遊んでくれそうじゃないですか! 口調はきついですけど、顔はかわいいですからね……(ハッと顔を上げて)いや、別に他意はないですよ。変な意味はないですからね!!
――もちろんです!! 誤解などしておりません。ザックは意外と気が利きますよね。オフィシャルコミックの『プラスティック・メモリーズ Say to good-bye』だと、ミチルに対して細かに気を使っているようでした。
林:あのコミックを読んで、ザックっていい子だなって僕も改めて思いました。あとはシェリーをパートナーにしたら、上手に管理してくれそうですよね。コンスタンスはなんでもやってくれそうなのに対して、シェリーは完璧にスケジュールも行動も管理してきそうな感じ。ドMにはもってこいのタイプなのかな? 彼女もミチルとカヅキと同じように怒ると怖いですけどね。あれ? そう考えると本作の女性陣はみんな怖いのかも!?
――すべて林さんがお書きになったんですよ(笑)。
林:まぁ、はい……怖い人が好きなんですかね……。そう考えると、シェリーが一番僕にはいいのかもしれません(笑)。
↑みごとパートナーのご指名を受けたシェリー。がちがちに管理されたり、踏みつけられたりという状況にときめく諸兄にオススメです。
――続いて、「ハーブティーはお好きですか?」という質問ですが……。
林:以前、雨宮さんといっしょにインタビューを受けた時に飲んだフレシュハーブティー、あれはすごくおいしかったです。ミントとローズマリーの2種類がブレンドされたヤツで、最初は「この草はなんだ!?」って味がしたんですけど。飲み進めるうちに癖になってきて、もう一杯欲しくなりました。ただ、日常的には……正直にいうと僕はコーヒー派なんです、すみません(笑)。最近はコンビニの100円コーヒーがお気に入りですね。そういえば、公式アカウントでハーブを育てていますよね?
――公式&G’マガジンで栽培中のハーブは発芽しなかったり、成長が遅かったりで、収穫はまだ先になるようです。
林:いつか成長したものを収穫して、飲めるといいですよね。
――物語に登場したので、てっきり林さんはハーブティー派だとばかり……。
林:シナリオの初稿ではコーヒーだったんですよ。でも、藤原監督から「胃の弱い山野辺さんに出すなら、胃に優しい飲み物のほうがいいんじゃない?」とアドバイスがあって。確かにコーヒーより胃に優しい。それでハーブティーに決まったんです。
――最後になりましたが、次回のリレーインタビュー(最終回)には藤原監督にご登場いただきます。藤原監督への疑問や質問をお願いします。
林:では次が最終回ということなので、ちょっと欲張って3つ。「#12までの中で一番好きなシーンはどこですか?」、「アイラに一番させたい格好はなんですか?」、「もしも『プラメモ』のスピンオフ作品を作るとしたら誰をメインの作品にしたいですか?」でお願いします。
★最終回のリレーインタビューには藤原佳幸監督が登場! どうぞお楽しみに♪
★電撃オンラインでも『プラスティック・メモリーズ』キャスト&スタッフインタビューを掲載中!
―――――
<プラメモ注目記事>
・『プラスティック・メモリーズ』#06 の見どころは? リレーインタビュー第1回:水柿ツカサ役●内匠靖明さん
・『プラスティック・メモリーズ』”乙女“なミチルの魅力を語る! 絹島ミチル役・赤﨑千夏さんインタビュー
・『プラスティック・メモリーズ』OPのレコーディングこぼれ話も? OPアーティスト・佐々木恵梨さんインタビューをちょい出し♪
・『プラスティック・メモリーズ』EDに込められた思いとは? EDアーティスト・今井麻美さんインタビュー♪
・『プラスティック・メモリーズ』初期プロットに迫る!? キャラクター原案・okiura氏インタビュー!
・『プラスティック・メモリーズ』アフレコ現場はまるでターミナルサービス! アイラ役・雨宮天さんインタビュー♪
―――――
TVアニメ『プラスティック・メモリーズ』
公式サイト:http://www.plastic-memories.jp/
Twitter ID:@pla_memo
ミチルとザックのプラメモラジオ:http://hibiki-radio.jp/description/plamemo
☆響-HiBiKi Radio Station-にて毎週金曜配信☆
★オフィシャルコミック
『プラスティック・メモリーズ Say to good-bye』① 発売中!
試し読みは 電撃コミックWEB ComicWalker をクリック!
電撃G’sコミック(毎月30日頃発売)にて連載中!
■SCHEDULE
TOKYO MX:毎週土曜深夜0時30分
チバテレ:毎週土曜深夜0時30分
群馬テレビ:毎週土曜深夜0時30分
とちぎテレビ:毎週土曜深夜0時30分
テレ玉:毎週土曜深夜0時30分
tvk:毎週土曜深夜0時30分
BS11:毎週土曜深夜0時30分
AT-X:毎週土曜深夜0時30分
岐阜放送:毎週火曜深夜1時
三重テレビ:毎週火曜深夜0時20分
ABC朝日放送:毎週水曜深夜2時14分
■CAST
水柿ツカサ:内匠靖明
アイラ:雨宮 天
絹島ミチル:赤﨑千夏
ザック:矢作紗友里
桑乃実カヅキ:豊口めぐみ
コンスタンス:日野 聡
他
■STAFF
原作・脚本:林直孝(MAGES.)
監督:藤原佳幸
キャラクター原案:okiura
キャラクターデザイン・総作画監督:中島千明
プロップデザイン・総作画監督:菊池愛
アニメーション制作:動画工房
(C)MAGES. / Project PM
Posted at 2015.6.19 | Category:G'sマガジン, アニメ, プラスティック・メモリーズ